龍涎香の主成分アンブレインに ビタミンD受容体結合能があることを解明 ~薬剤等への利用に期待~
本学自然科学系(農学部)生物有機化学分野の佐藤努教授・上田大次郎助教、大学院医歯学総合研究科/歯学部歯科薬理学分野の柿原嘉人助教、富山県立大学の安田佳織准教授・磯貝泰弘教授、大阪公立大学の品田哲郎教授、ベルリン自由大学のChristmann教授らの共同研究グループは、マッコウクジラ由来の「幻の高級香料・漢方薬・伝承医薬」である龍涎香の主成分アンブレインにビタミンD受容体結合能があることを解明し、さらにアンブレインよりも受容体親和性が高い化合物を酵素合成することに成功しました。龍涎香がもつ生物活性を薬剤等として利用するための新たな道を拓く成果です。
本研究成果は、2024年1月16日、科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究成果のポイント
- 龍涎香の多様な生物活性の一部がビタミンD受容体を介したものであることが示唆されました。
- 一方で明らかにビタミンD受容体が関与しない生物活性も見出し、龍涎香の生物活性の作用点は多様であることも示しました。
- 変異型アンブレイン合成酵素を用いて自然界から見出されていない化合物を合成し、アンブレインよりも高いビタミンD受容体親和性をもつ化合物を創出しました。
- 龍涎香の生物活性を薬剤等として利用するための新たな道を拓くことが期待されます。
研究内容の詳細
龍涎香の主成分アンブレインに ビタミンD受容体結合能があることを解明 ~薬剤等への利用に期待~(PDF:0.7MB)
論文情報
【掲載誌】Scientific Reports
【論文タイトル】Analysis of vitamin D receptor binding affinities of enzymatically synthesized triterpenes including ambrein and unnatural onoceroids
【著者】Daijiro Ueda1, Natsu Matsuda1, Yuka Takaba1, Nami Hirai1, Mao Inoue1, Taichi Kameya1, Tohru Abe1, Nao Tagaya2, Yasuhiro Isogai2, Yoshito Kakihara3, Florian Bartels4, Mathias Christmann4, Tetsuro Shinada5, Kaori Yasuda2*, Tsutomu Sato1*
【doi】10.1038/s41598-024-52013-7
Graduate School of Science and Technology, Niigata University,1 Department of Pharmaceutical Engineering, Faculty of Engineering, Toyama Prefectural University2 Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata University3 Institute of Chemistry and Biochemistry, Freie Unversität Berlin, 4 Graduate School of Science, Osaka Metropolitan University5
*) Corresponding authors
本件に関するお問い合わせ先
広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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