このページの本文へ移動
  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 災害・復興科学研究所/研究統括機構安田浩保研究教授がJST CREST「新たな社会・産業の基盤となる予測・制御の科学 」に採択されました

災害・復興科学研究所/研究統括機構安田浩保研究教授がJST CREST「新たな社会・産業の基盤となる予測・制御の科学 」に採択されました

2025年10月03日 金曜日 トピックス

本学学災害・復興科学研究所の安田浩保准教授(本学学研究統括機構研究教授)が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)2025年度戦略的創造研究推進事業CREST戦略目標「新たな社会・産業の基盤となる予測・制御の科学」の研究領域「予測・制御のための数理科学的基盤の創出」に、研究代表者として採択されました。本研究プロジェクトでは、洪水の予測と河道設計の最適化を往還させる数理基盤の確立を目指します。

研究プロジェクトのポイント

  • 数理×観測×設計の統合:マルチバンド・レーダ観測、深層学習など数理的な手法による構造抽出、強化学習とトポロジー/形状最適化を多段階で接続し、現象の把握から設計までを一気通貫で実装。
  • 乱流中に現れる秩序「擬似層流」を制御対象に:加速パラメータKを操作変数として、乱流―擬似層流遷移の数理モデル化と分岐解析を実施。
  • 実河川での検証:信濃川などにおける高頻度・高解像度観測と、既設の拡縮構造物を起点にした最適形状設計で、水位低減と整流の両立を検証。
  • 研究領域の趣旨と合致:変革点(ポイント・オブ・ノー・リターン)を事前に捉えて制御する「予測数学基盤」の趣旨に正面から応える取組。

研究プロジェクトについて

戦略目標: 「新たな社会・産業の基盤となる予測・制御の科学」
研究領域: 「予測・制御のための数理科学的基盤の創出」
課題名: 秩序の設計-数理が拓く河川の制御
研究期間: 2025年10月~2031年3月
プロジェクトの内容:

洪水は高次元・非線形で不確実性の大きい現象です。本課題は、自然河川に内在する秩序  構造(擬似層流など)を抽出・定式化し、幾何学的な河道形状の設計を通じて秩序を誘発・維持する数理フレームを構築します。このために、まず、マルチバンド・レーダで水面流速を平面的に高頻度に観測し、物理的な拘束条件を課した深層学習などで未観測情報を復元します。その実測より得られた加速度の空間分布を鍵に、流れの遷移の分岐構造を解明し、最適化設計へ接続します。

対象領域「予測数学基盤」は、数理科学の抽象性を活かしつつ異分野データを融合し、重要な兆し・変革点の予測と制御を目指すものです。本課題では、洪水現象における秩序の創発と設計介入を具体化し、予測と設計を往還する新しい治水の姿を提示します。

採択された研究の概要図

研究者について

安田研究教授の写真

安田 浩保(やすだ ひろやす)
災害・復興科学研究所准教授/新潟大学研究統括機構研究教授。
研究者詳細

コメント

今世紀末にかけて極端降雨の増加が指摘され、洪水の危険性の高まりが懸念されています。従来の治水では容量の拡大を中心としてきましたが、その限界が指摘されています。本研究では、数学分野と緊密に連携し、容量設計に加えて「洪水の流れ方」も設計する新しい治水を提示し、水害の最小化を目指します。さらに、新たな治水の知の社会実装を加速するため、博士課程学生や若手研究者の育成にも取り組みます。

JST戦略的創造研究推進事業CREST

CREST事業は、国が定める戦略目標の達成に向けて、課題達成型基礎研究を推進し、科学技術イノベーションを生み出す革新的技術シーズを創出するためのチーム型研究です。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業サイト

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

他のニュースも読む