このページの本文へ移動
  1. ホーム
  2. 大学案内
  3. 学長メッセージ
  4. 令和6年度入学式 学長告辞
学長メッセージ

令和6年度入学式 学長告辞

新入生の皆さん、新潟大学へのご入学、まことにおめでとうございます。新潟大学を代表して心からお祝いを申し上げます。また、新入生の皆さんのこれまでを支えてこられたご家族の皆様、関係者の皆様にもお慶びを申し上げます。

この度、新潟大学に入学を認められたのは、学士課程2,380名、大学院修士課程611名、大学院博士課程141名、大学院専門職学位課程15名、養護教諭特別別科50名、の総計3,197名です。

本日ここにご出席の新入生の皆さんの大多数は、高校生活・受験生活を終えて、待ち望んだ大学生活を迎えることになると思います。親元を初めて離れて、一人暮らしとなる方も多いことでしょう。皆さんは期待と不安のなかでどのような大学生活を思い描いているでしょうか。

新潟大学は10の学部と5つの研究科からなる総合大学です。その中で、皆さんは、自身を磨き、未来の社会に立ち向かう力を養うことになります。

これから皆さんには、新潟大学でたくさんの新しい魅力的な出会いが待ち受けています。それは、大学というところが、多様な人々が集う「学びの場」であるからです。大学生活で、その多様な人たちと感化し合い、そこでのコミュニケーションを通して自身が成長していく、そんな時間を過ごしてもらいたいと思います。それは皆さんの将来の道を切り拓くことにもなるでしょう。

さて、入学にあたり、新潟大学の理念についてお話しします。新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを作り出すことです。新潟大学は、この「自律と創生」の理念のもとで皆さんに接します。新潟大学で学ぶ皆さんには、他人の真似ではなく、常に自分の規範を自ら立てて物事を考える習慣、すなわち、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、判断していく、そういう力を養ってもらいたいと思います。

社会は予測できない出来事や予測が難しい出来事に満ちています。COVID-19のパンデミック、すなわちコロナ禍は私たちの社会に大きな影響を与えました。地震や天災もしかり。正月早々の能登半島地震では、新潟市でも液状化による被害などが出ました。ウクライナやパレスチナを巡る国際情勢と世界の構図の大きな変化も深刻です。

さらに、現代社会には、克服しなければならない多様な課題が山積されています。たとえば地球温暖化、格差拡大、貧困といった地球規模の課題にどう取り組むかが問われており、そのアクションが求められています。

そのような中で、もしも私たちが未来を切り拓くことができるとすれば、それは「科学」であり「学問」を高めることであると思います。科学・学問には、未来を予測する精度を高め、私たちを豊かにする力があります。

大学の学びにおいては、これまでの試験問題のような、答えのあるものばかりではなくなります。むしろ、答えのない課題や問題に出会うことが多いでしょう。しかし、それは、私たちが解けない問題や予測できない問題に立ち向かう力を養うためのものです。つまり、大学というところは、単に知識を学ぶところではなく、それを活かして未知の分野に立ち向かう力を学ぶところなのです。

コロナ禍により、デジタル技術による変革、すなわちデジタルトランスフォーメーションが加速しました。テレワーク、オンライン会議が根付き、さまざまなデジタル化が進んでいます。さらに、最近では、生成系AIという、これまでの識別系AIとは異なる人工知能の技術も急速に発達してきています。これから皆さんが活躍する社会は、このようにAIやビッグデータ等の新たな技術が築くサイバー空間と、現実のフィジカル空間が融合した新しい世界がどんどん築かれていくことでしょう。グローバル化も進んでいきます。その中で、皆さんは皆さんの力で未来を切り拓いていくことになります。どうか新潟大学で、そんな時代を生き抜く力を養ってもらいたいと思います。

そのために、新潟大学の理念である「自律と創生」の精神を養い、自身や社会に対するアンテナを高くしてください。最初に話したように、他人の受け売りや真似ではなく、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、正しく判断していく、それが「自律と創生」です。それは、新潟のシンボルである柳のように、あの柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を持つことでもあります。

その上で、皆さんの知的好奇心を最大限に広げて、新潟大学で多くを学んでください。知的好奇心は創造力の源です。そして、答えのない問題に挑戦する勇気と、それを克服する根気を大学生活の中で養ってもらいたいと思います。失敗を恐れないで、いろいろなことに挑戦してください。

最後に、新潟大学の将来ビジョンについても少しお話しします。新潟大学では、直近の未来である2030年に向けたビジョン、すなわち「新潟大学将来ビジョン2030」において、「新潟大学は未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとなる」ことをミッションに掲げています。

ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、単に「医療・健康・福祉分野」に留まらず、21世紀を生きる我々の「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。すなわち、新潟大学が目指す「ライフ・イノベーション」は、私たち人類を幸福にするための革新のことです。

このように、新潟大学は、未来の人間社会に資する研究と、未来の社会に活躍する人材の育成を目指しています。どうか、入学に際して、新潟大学の理念「自律と創生」を胸に刻み、この新潟大学の将来ビジョンを共有して、学生生活を有意義に過ごしてください。そして、つねに知的好奇心を持ちながら、学ぶ事の大切さを忘れないで、この入学の喜びの中で抱いた夢を忘れずに、その夢に向かって大学生活を送ってください。

新潟大学は、旧制新潟医科大学と旧制新潟高等学校を母体とし、師範学校、高等工業学校、農林専門学校が統合して、1949年に国立大学新潟大学となりました。したがって、新潟大学は今年、創立75周年を迎えます。このお祝いにあたり、新潟大学は、未来に向けて新たな挑戦をするための誓いと、社会に貢献できる大学であり続けるための決意を新たにしています。新潟大学がより良くなるよう、大学キャンパスの整備を進めているほか、今年度はさまざまなイベントも計画されています。皆さんにも、さまざまな形で参加していただければ幸いです。

改めて、皆さん、ご入学まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。そして、皆さんの大学生活が実りあるものとなることを祈り、私の告辞とします。

令和6年4月3日
新潟大学長 牛木辰男