令和7年度秋季入学式 学長告辞
入学生の皆さん、新潟大学へのご入学、まことにおめでとうございます。新潟大学を代表して皆さんのご入学を心よりお祝い申し上げます。
皆さんは、未来への様々な夢と希望を胸に抱いて、この入学の日を迎えているのではないかと思います。特に海外からの皆さんは、日本での生活に期待と不安でいっぱいだと思います。
これから皆さんには、新潟大学でたくさんの新しい出会いと学びがあることと思います。大学というところは、多様な人々が集う「学びの場」です。新潟大学には1万人以上の学生が集っています。したがって、大学生活は、その多様な人たちと出会い、感化し合い、そこでのコミュニケーションを通して皆さんが成長していく貴重な時間です。人との出会い以外にも、さまざまな物事との出会い、かけがえのない出会いがあると思います。こうしたさまざまな出会いを大切にして、豊かで実りある大学生活を送ってください。
入学にあたり、新潟大学の理念について皆さんにお話しします。新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り、「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを創り出すことです。それは、他人の真似ではなく、「常に自分で自分の規範を立てる習慣」を持つことでもあります。新潟大学は、この理念のもとに教育を行っています。どうか、新潟大学での学生生活を通して様々なことを学びながら、この「自律と創生」の理念を感じとってもらいたいと思います。
現在、新潟大学は「未来のライフ・イノベーションのフロントランナー」となることを大学のミッションにしています。ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、単に「医療・健康・福祉分野」に留まらず、21世紀を生きる我々の「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。すなわち、新潟大学が目指す「ライフ・イノベーション」は、人類を幸福にするための革新のことです。このように、新潟大学は、未来の人間社会に資する研究と、未来の社会で活躍する人材の育成を目指しています。
社会は予測できない出来事や予測が難しい出来事に満ちています。COVID-19のパンデミックは私たちの社会に大きな影響を与えました。気候変動や天災の数々、様々な紛争や国際情勢による世界の構図の大きな変化も深刻さを増しています。さらに、格差拡大、貧困といった地球規模の課題にどう取り組むかが問われ、そのアクションが求められるなど、現代の社会は、克服しなければならない多様な課題に満ち満ちています。私たちは、こうした予測の難しい時代、課題に満ちた時代を生きていかなければなりません。
私は、そのような中で、もしも未来を切り拓くことができるとすれば、それは「科学」であり「学問」であると思います。科学・学問には、未来を予測する精度を高め、私たちを豊かにする力があります。
デジタル技術による変革、すなわちデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、最近では、生成系AIという技術も急速に発展を遂げています。グローバル化も進んでいきます。その中で、皆さんは未来を切り拓くことになりますが、新潟大学で学ぶことを通じて、そうした未来の時代を生き抜く力を養ってもらいたいと思います。そのために、どうか、新潟大学の理念「自立と創生」を胸に刻み、新潟大学のミッションである「未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとなる」ことを共有し、自身や社会に対するアンテナを高くしながら、皆さんの学生生活を実りあるものにしてもらいたいと思います。常に知的好奇心を持ちながら、学ぶことの大切さを見失わないで、入学時に抱いた夢に向かってどんどんと進んでいってください。
改めて、皆さん、ご入学、まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。そして、皆さんの大学生活が実りあるものとなることを願い、私の告辞とします。
令和7年10月1日
新潟大学長 牛木辰男