3Dイメージングの新技術開発により左右非対称性の基盤となる細胞の運動を発見しました
本学大学院医歯学総合研究科の玉田篤史研究員と五十嵐道弘教授の研究グループは、細胞の3D構造をライブで可視化する新規の顕微鏡観察法を開発し、細胞の形と動きを自動解析する技術を確立し、これを用いて神経細胞および細胞性粘菌が、キラル(*1)な旋回・らせん(*2)運動を示すことを発見しました。
本研究成果は、バイオイメージングと画像解析において革新的な基盤技術を提供すると同時に、細胞のキラリティから脳や臓器などの左右非対称な器官形成に至るメカニズムの解明に貢献すると期待されます。
*1:キラリティ・キラル
キラリティとは「3Dで物体や現象がその鏡像と重ね合わせられない幾何学的性質」のこと。キラリティがある状態をキラルという。キラルな例としては、手(右手の掌と左手の甲を向かい合わせたときに重なり合わない)、らせん(右らせんと左らせんは重ならない)などがあげられる。
*2:旋回・らせん
回転とは、物体などがある点や軸を中心として回ることを指し、幅広い意味を持つ。旋回とは、同一平面上での回転を指す。2D平面での運動の場合、回転運動は旋回成分のみとなり、回転の程度は曲率(回転半径の逆数)で表される。3D空間での運動の場合、回転運動は旋回成分(曲率)と捩れ成分(捩率、れいりつ)の2つで表される。旋回のみの場合は平面的なカーブ、捩れのみの場合はスピン運動になる。らせんとは3D曲線の一種であり、平面的な円運動とそれに直交する直線運動を組み合わせたものである。ねじの山、コイルなどが例として挙げられる。生体高分子の多くもらせん構造をとる。らせんはキラルであり、右巻きと左巻きの2種類がある。
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