小児の神経難病に迫る:白質消失病の新たな病態モデルマウスを樹立
本学脳研究所 統合脳機能研究センターの照光(辻田)実加 准教授(現 慶應義塾大学医学部 総合医科学研究センター)、五十嵐博中 教授、本学脳研究所 病理学分野の北浦弘樹 特任准教授、本学大学院医歯学総合研究科 神経解剖学分野の竹林浩秀 教授らの研究グループは、発育不良や運動障害およびてんかんなどの神経症状を示す突然変異マウスを発見し、「toy(トイ)マウス」と名付けました。さらに、その原因となるEif2b5遺伝子の突然変異を特定し、toyマウスの細胞では、タンパク合成の開始に関わる翻訳開始因子eIF2Bの酵素活性が低下していることを示しました。ヒトではEIF2B5遺伝子の変異により、脳の白質が急激に萎縮・消失してしまう「白質消失病」を発症することが知られています。本研究により、toyマウスは、新たな白質消失病の病態モデルマウスとなりうることを示しました。今後は本モデル動物を用いて病態を詳細に解析することで、白質消失病の新たな治療法を開発できる可能性があります。
本研究は、新潟大学、理化学研究所、東京大学、国立精神・神経医療研究センターの共同研究として行われ、日本学術振興会科研費、新潟大学脳研究所および東京大学医科学研究所の研究費支援により行われました。
詳しくはこちら(PDF:487KB)
本件に関するお問い合わせ先
広報室
電話 025-262-7000
他のニュースも読む
-
研究成果 2024年05月14日
新規結核ブースターワクチン候補分子の提案-結核菌生来の翻訳後修飾を有する蛋白質の優れたインターフェロンガンマ誘導性-
-
研究成果 2024年04月26日
指定難病「視神経脊髄炎」の炎症を正負に制御する免疫ダイナミクスを発見-好中球とT細胞制御を目指した新たな治療法に道-
-
研究成果 2024年04月26日
難治性卵巣がんの治療抵抗性を引き起こす細胞間の協調作用を発見~「がん関連線維芽細胞」を標的とした新しい治療法開発に期待~
-
研究成果 2024年04月15日
糖尿病性神経障害発症における細胞外基質の役割を解明-コンドロイチン硫酸の発現調節による症状軽減化と新たな治療戦略への期待-