冬眠様状態を誘導する新規神経回路の発見-人工冬眠の実現へ大きな前進-
本学脳研究所モデル動物開発分野の阿部学准教授らが筑波大学医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の櫻井武教授らの研究グループとの共同研究により開発した遺伝子改変マウスを用いることで、同研究グループが、本来は冬眠しないマウスに冬眠様状態を誘導する新規神経回路を発見しました。脳の一部の小領域に存在するQRFPという神経ペプチドを有する神経細胞に、特定の遺伝子の発現制御を可能とするCreというタンパク質を産生する遺伝子改変マウス(Qrfp iCreマウス)と、CNOという物質に反応し神経活動を操作できる遺伝子を発現制御するマウス(Rosa26 dreaddマウス)を用いることで、マウスの体温や酸素消費量を急激に低下させ冬眠のような状態にさせるQ神経(Quiescence-inducing neurons : 休眠誘導神経)と名付けられた神経細胞群を発見することができました。
この研究成果は、2020年6月10日付の英科学雑誌「Nature」にオンライン公開されました。
詳しくはこちら(筑波大学ホームページ)
関連リンク
脳研究所ホームページ掲載記事
脳研究所モデル動物開発分野(研究分野紹介ページ)
本件に関するお問い合わせ先
広報室
電話 025-262-7000
他のニュースも読む
-
研究成果 2024年05月14日
新規結核ブースターワクチン候補分子の提案-結核菌生来の翻訳後修飾を有する蛋白質の優れたインターフェロンガンマ誘導性-
-
研究成果 2024年04月26日
指定難病「視神経脊髄炎」の炎症を正負に制御する免疫ダイナミクスを発見-好中球とT細胞制御を目指した新たな治療法に道-
-
研究成果 2024年04月26日
難治性卵巣がんの治療抵抗性を引き起こす細胞間の協調作用を発見~「がん関連線維芽細胞」を標的とした新しい治療法開発に期待~
-
研究成果 2024年04月15日
糖尿病性神経障害発症における細胞外基質の役割を解明-コンドロイチン硫酸の発現調節による症状軽減化と新たな治療戦略への期待-