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【学生の皆さんへ】学長メッセージ -コロナの夏を乗り切るために-(2020年8月7日掲載)

2020年08月07日 金曜日 お知らせ

新潟大学長 牛木辰男

はじめに
1.基本的な感染予防対策の徹底
2.「3つの密」を避ける
3.飲食店を利用する際の注意
4.課外活動について
5.旅行や移動について
6.その他
おわりに

はじめに

第1学期ももうすぐ終わろうとしています。4月20日に始まった今学期は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ見地から非対面型の授業となりました。学生の皆さんには全く経験のしたことのない事態で、大いに戸惑いながらの1学期だったのではないかと思います。特に新入生の皆さんは、待望の大学生活が大きな制限のまま始まり、さぞかし心細い日々だったのではないでしょうか。まずは皆さんのご協力と努力に心から感謝申し上げます。

日本での新型コロナウイルスの感染拡大は、皆さんご承知のように4月に緊急事態宣言が発令され自粛要請に至りましたが、幸い大きな拡大にはならず5月末にはいったん小康状態となりました。そこで6月半ばからの第1学期第2タームでは、感染防止対策を徹底しつつ、実験・実習科目などの一部の対面授業を再開することができました。しかし、感染自体は6月末からじわじわと東京を中心に再拡大し、7月末には国内で1日1,000人以上の感染者が続くようになり、すでに国内感染者は4万人を超えるまでに至っています。新潟を始めとした地方への飛び火も頻繁となり、新潟大学も大阪に旅行をした学生5人の感染が7月末に確認されました。

一人の感染者が出た場合、濃厚接触者を含めて感染のリスクのある人はたいてい何十人にもなります。今回の学生の感染においては、非対面型の授業をしていましたし、行動履歴も迅速に把握できました。また、念のため、図書館、生協食堂などを一時閉鎖しました。その結果、心配された濃厚接触者のPCR検査もすべて陰性でしたし、2次的な感染拡大を防ぐことができました。しかし、今回のことで、コロナの感染が身近であること、また感染を拡大させないためにはわれわれ一人一人の自覚をもった行動が求められることを、実感したのではないかと思います。

皆さん気づいていることと思いますが、実は毎日発表される感染者の数は、今の姿というよりは、1~2週間前の姿を反映するものです。新型コロナウイルスに感染する人は、患者さんに接触してから3~5日ぐらい経って発熱や風邪症状(咳、息くるしさ、強いだるさ)がでて、それからPCR検査をして感染者と認められるからです。したがって、今の皆さんが置かれている状況は、1~2週間後の感染者数で明らかになります。そうした視点で現在の感染者数を眺めると、現状の日本は、きわめて厳しい状況にあり、このままでは、ますます増加することが容易に想像できるでしょう。

新型コロナウイルスには、まだ特効薬もワクチンもありません。そのため、各国でしのぎを削って現在ワクチン開発が進んでいます。すでにワクチン開発に成功し、秋から接種を始めるという国も出始めていますが、これまでの経験と専門家の意見を総合すると、実効力があり、かつ副作用のないワクチンが出来上がるのは早くても来年の夏ごろという見方が現実的ではないかと思います。それまでは、各自の感染予防対策を徹底するとともに、感染の機会を減らした行動が求められることになります。つまり、このコロナ禍は長期化します。

このような状況の中で、これから皆さんは夏休みを迎えることになります。一方で、SNSなどでさまざまな情報が巷に溢れ、皆さんは何を指標にすべきか混乱に陥っているのではないでしょうか。

そこで、私から皆さんに、コロナの感染拡大の中でこれからの夏を過ごすために、何をすべきかをお伝えすることにします。その基本は、前にも伝えましたが、
①自分が感染しないように気をつける
②「もしかしたら自分が感染しているかもしれない」と常に考え、他人にうつさない、クラスターを作らないよう気をつける。
ことに尽きます。

特に、コロナウイルスの症状は、全体でいうと80%ぐらいの人は軽症で終わるのが特徴であるため、自分が自覚しないで近くの他人にうつしてしまう可能性があります。とくに若者が感染した時は無症状であったり、軽症に終わることが多いのですが、どうせ感染しても症状が軽いから、という考えを皆さんが持つなら感染拡大を助長しますし、身近な人(特に高齢者や持病を持つ人々)に危険を及ぼす結果になります。そのことを念頭に、以下の点に留意してください。

1.基本的な感染予防対策の徹底

新型コロナウイルスの感染様式は、飛沫感染接触感染です。
飛沫感染の予防:人との距離を保ち、マスクを着用することが重要です。したがって、人と会話をするときは社会的距離を保ち、マスクを着用してください。ただし、これからの暑い夏に、むやみにいつもマスクを着用する必要はありません。
暑い屋外を一人で歩くときはマスクの着用は必要ありませんし、ジョギング時のマスクの着用はむしろ危険です。単にすれ違っただけでは感染することはまずありませんから、人との距離をあけることを守った活動をしてください。
もちろん、お店などに入るときは、マスクは必要です。
接触感染の予防思いのほか盲点なのは接触感染です。公共の場所のテーブル、ドアノブ、手すりなどは接触感染を起こしやすいものです。したがって、できるだけ触らないようにすべきです。
しかし、例えば電車のつり革や、バスの椅子のてすりなどは触らないわけにはいきません。実は、これらを触ってもすぐには感染しません。手の皮膚から感染することはまずないからです。問題は、その手で顔や鼻や目を触ったりこすったりしてしまうことです。
したがって、むやみにつり革や手すりをこわがる必要はありません。むしろ、手で鼻や口や目をむやみに触らないようにし、こまめな手指消毒や、外出後の石鹸での手洗いを励行することです。

2.「3つの密」を避ける

飛沫感染のリスクを避けるという意味では、換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、近距離での会話や発話が生じる密接場面、はすべて危険です。したがって、こうした条件を一つでも作らない・避けるような行動をお願いします。
当然のことながら、クラブや居酒屋は、マスクをとらざるを得ないでしょうし、特にお酒が入ると声が大きくなり、飛沫が飛びやすくなります。回し飲みをしなくても、飛び散った唾や、トングなどの使い回しによる接触感染がおこりやすくなります。したがって、こうしたお店でのアルバイトは厳に禁止します。
また、複数人での飲食は、感染のクラスターを起こす可能性があります。その点で、同級生・同僚との宴会、部屋飲み(学生寮、アパートを含む)など、いわゆる「飲み会」は慎んでください。

3.飲食店を利用する際の注意

居酒屋にはいかないとしても、食事のために飲食店を利用しなければならないことはあるでしょう。自治体によっては感染対策のステッカーが貼られていたりしますが、問題は実態です。自分の目できちんと確かめることが肝心です。
たとえば利用可能な飲食店の目安は、
①窓やドアの開放、または換気扇で換気を適宜している。
②他の客との間隔を保つことができる(余裕のある個室、他の客のテーブルと2m以上間隔がある、隣のテーブルとの間に仕切りがある、または間隔が保てるよう人数制限している)。
③うるさくない(大声での会話を避けるため)。
④客毎に客席やテーブルを、消毒している。
⑤入店前後に手指消毒ができる。
⑥従業員がマスクを着用している。
などが考えられます。また、基本的に複数名での飲食は避けるべきですが、やむを得ず2、3名での食事になる場合は、同行者同士であっても近距離とならないような座席の配置としてもらうべきです。常に自分の頭で、状況を見きわめて、判断することが重要です。

4.課外活動について

大学の課外活動は、皆さん自身に感染予防策を考えてもらい、届け出制として制限の中で再開しています。したがって、皆さんが自ら示した感染対策のルールを守り、感染リスクに特に注意を払って活動してもらいたいと思います。
なお、部活動やサークル活動に限らず、スポーツをする場合の更衣室は、たとえ密でなくても不特定多数の人がロッカーを使うこともあり、最も接触感染が起きやすいことに注意してください。そういう目線が大切です。

5.旅行や移動について

緊急事態宣言が解除された後の、県をまたいだ移動は可能となっています。しかし、今は、感染拡大状況を十分理解し、感染リスクを理解した行動が必要です。
お盆の「帰省」の良し悪しも議論されていますが、移動することそのものが悪いことではありません。夏に家でじっと籠って動かないでいるというのも無理な話です。その点では、「自分が感染しないこと、他人を感染させないこと」を常に考えながら、どうすべきかを決めてください。
移動についての基本的なポイントは、
①県外の移動には細心の注意を払う。
②サークル旅行などの多人数(4人以上)での集団旅行を行わない。
ことです。
このうち①については、移動中の感染予防対策、移動場所の感染状況の把握、リスクを伴う場所の回避、を心がけることが重要です。また、移動先で自分が他人にうつさないかという配慮も必要です。

6.その他

上記で述べたこと以外にも、感染を回避するために注意すべきことがいろいろあることは、皆さんが考えてくださればいろいろ思い浮かぶことでしょう。
たとえば、県外者との濃厚な接触は感染のリスクを高める可能性があります。つまり、お盆によく行われる同級会などがその典型です。お盆で帰省するさいや、帰省してきた人との面会はこの観点を忘れないようにすべきです。また、感染者の多い県から少ない県への移動は、そのような問題をさらに深刻にしますし、感染者が家族の中に一人加われば、家族内感染につながることを考えるべきです。
家族との関係では、家族を守るために自分が感染を持ち込まないこと、そのためには自分が感染しないことが重要です。またもしものために、家庭内においても、手洗いを習慣にし、食事においてもある程度の注意を怠らないことが必要でしょう。
なお、厚生労働省が提供している接触確認アプリ(COCOA)は、スマートフォンに導入しておいてください。これから周囲に感染者が増えた場合には、危険を知る上で役に立つ可能性があります。

おわりに

物理学者で随筆家・俳人でも知られる寺田寅彦の言葉に「正当にこわがる」という言葉があります。これは『小爆発二件』という随筆の中に出てくる言葉で、浅間山の爆発に遭遇した著者が、山から降りてきて「なんでもない、大丈夫」と言っている学生や、平気で山に向かう登山者を見て、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」と述べているものです。

どうか皆さんも、根拠のない自信で油断をしたり、逆にいたずらに不安にならず、事実をよく見聞きする力を養い、規律と規制のある中でもよい一夏を送っていただきたいと思います。秋にはインフルエンザとともに今よりも大きな感染の波が訪れる可能性が大いにあります。したがって第2学期も非対面型の講義形式を主体で行うことになりますが、第1学期の経験を活かし、教員もより魅力的な講義づくりを目指しますので、ともに困難な時代を乗り切っていきましょう。

困ったことがあれば、まずは指導教員または所属する学部・大学院の学務係に相談してください。また、それができなかったり、経済的なことや心理的なことでの悩みがあれば「新型コロナ対策緊急学生サポート窓口」「なんでも相談窓口」などに気軽にご相談ください。もちろん信頼できる人や友人に相談してみるのもいいでしょう。そして、一方で、コロナの中にあっても、皆さんの知的好奇心を上手に発揮して、実りある夏を送ってほしいと思います。

関連情報

季刊広報誌「六花」第33号(2020年夏号)2~5ページ【特集】コロナ禍に立ち向かう学生へ~学生の未来と大学のサポート~

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