肺炎球菌感染症に対するマクロライド系抗菌薬の新たな作用を発見-新たな肺炎治療法の開発につながる可能性-
本学大学院医歯学総合研究科微生物感染症学分野の土門久哲准教授と寺尾豊教授らを中心とした研究チームは、マクロライド系抗菌薬*であるクラリスロマイシンが肺炎球菌の毒素放出を抑制し、肺炎の重症化を防ぐことを明らかにしました。本研究を基盤とし、新たな肺炎治療薬の開発を目指していきます。本研究成果は、米国科学誌「Microbiology Spectrum」に2021年9月1日に電子公開されました。
*マクロライド系抗菌薬:細菌のタンパク質合成を抑制することで抗菌力を発揮する薬
本研究成果のポイント
- 市中において、マクロライド系抗菌薬が効かない肺炎球菌が広く流布している。
- 一方、マクロライド系抗菌薬は肺炎球菌感染症に対して有効であると報告されている。
- 本研究では、マクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンが肺炎球菌の毒素放出を抑制することを明らかにした。
- 肺炎球菌毒素をターゲットとした新たな肺炎治療につながる可能性が示唆された。
研究内容の詳細
肺炎球菌感染症に対するマクロライド系抗菌薬の新たな作用を発見-新たな肺炎治療法の開発につながる可能性-(PDF:1.8MB)
論文情報
【掲載誌】Microbiology Spectrum
【論文タイトル】Clarithromycin Inhibits Pneumolysin Production via Downregulation of ply Gene Transcription despite Autolysis Activation
【著者】Hisanori Domon, Toshihito Isono, Takumi Hiyoshi, Hikaru Tamura, Karin Sasagawa, Tomoki Maekawa, Satoru Hirayama, Katsunori Yanagihara, Yutaka Terao
【doi】10.1128/Spectrum.00318-21
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
他のニュースも読む
-
研究成果 2024年05月14日
新規結核ブースターワクチン候補分子の提案-結核菌生来の翻訳後修飾を有する蛋白質の優れたインターフェロンガンマ誘導性-
-
研究成果 2024年04月26日
指定難病「視神経脊髄炎」の炎症を正負に制御する免疫ダイナミクスを発見-好中球とT細胞制御を目指した新たな治療法に道-
-
研究成果 2024年04月26日
難治性卵巣がんの治療抵抗性を引き起こす細胞間の協調作用を発見~「がん関連線維芽細胞」を標的とした新しい治療法開発に期待~
-
研究成果 2024年04月15日
糖尿病性神経障害発症における細胞外基質の役割を解明-コンドロイチン硫酸の発現調節による症状軽減化と新たな治療戦略への期待-