新潟市における新型コロナウイルス感染症流行初期のクラスター発生要因の解明-積極的疫学調査とゲノム解析に基づく包括的成果-
新型コロナウイルス感染症が、地域でどのようなクラスター(小規模な集団発生)を引き起こしているか、詳しく調べることは地域の感染防止のために非常に重要です。しかしながら、これまで、自治体レベルでの報告はほとんどなされていません。
今回、本学大学院医歯学総合研究科国際保健学分野の我妻奎太(大学院生)と齋藤玲子教授らの研究グループは、新潟市保健所、新潟市、本学大学院自然科学研究科バイオインフォマティクス分野の阿部貴志教授、新潟県保健環境科学研究所、国立感染症研究所、新潟県と協力することで、新潟市における新型コロナウイルス感染症の流行初期におけるクラスター発生の特徴を、疫学解析とゲノム解析の双方を組み合わせることで明らかにしました。本研究成果は、今後の新潟市の新型コロナウイルス感染症対策の強化に役立つことが期待されます。
本研究成果のポイント
- 2020年2~3月の新潟市の第1波は、新型コロナウイルス感染症が、スポーツ活動、家族、職場、高齢者施設などを通じて広がっていました。4~5月の第2波では発端者は互いに接点が無く、大都市圏から複数回にわたって感染が伝播されたことが明らかになりました。
- 新潟市の第1波は中国系統、第2波はヨーロッパ系統の新型コロナウイルスでした。
研究内容の詳細
新潟市における新型コロナウイルス感染症流行初期のクラスター発生要因の解明-積極的疫学調査とゲノム解析に基づく包括的成果-(PDF:1.4MB)
論文情報
【掲載誌】Frontiers in Microbiology
【論文タイトル】Genomic Epidemiology Reveals Multiple Introductions of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Niigata City, Japan, Between February and May 2020
【著者】Keita Wagatsuma, Ryosuke Sato, Satoru Yamazaki, Masako Iwaya, Yoshiki Takahashi, Akiko Nojima, Mitsuru Oseki, Takashi Abe, Wint Wint Phyu, Tsutomu Tamura, Tsuyoshi Sekizuka, Makoto Kuroda, Haruki H. Matsumoto and Reiko Saito
【doi】10.3389/fmicb.2021.749149
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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