結核菌が宿主の免疫応答を抑制するメカニズムの一端を解明~新たな結核治療薬の開発に繋がる可能性~
琉球大学熱帯生物圏研究センターの高江洲義一准教授、松﨑吾朗教授らの研究チームによる研究成果が、米国連邦実験生物学会の学術誌「The FASEB Journal」に掲載されました。
発表のポイント
- 結核菌の排除に重要な役割を果たす炎症性サイトカインIL-1βの産生を阻害する結核菌病原因子Zmp1の宿主側標的分子として、ミトコンドリアに局在するGRIM-19を同定した。
- GRIM-19はインフラマソームを介したIL-1βの産生に必須の役割を果たす新規の制御因子であることを見出した。
- Zmp1はGRIM-19を標的としてミトコンドリア機能を阻害することで、IL-1βの産生を阻害することが示唆された。
- 今後、Zmp1とGRIM-19の相互作用をブロックする新たな結核治療薬の開発に繋がることが期待される。
本学の共同研究者
大学院医歯学総合研究科細菌学分野
松本 壮吉 教授
研究内容の詳細
結核菌が宿主の免疫応答を抑制するメカニズムの一端を解明~新たな結核治療薬の開発に繋がる可能性~(PDF:863KB)
論文情報
【掲載誌】The FASEB Journal
【論文タイトル】GRIM-19 is a target of mycobacterial Zn2+ metalloprotease 1 and indispensable for NLRP3 inflammasome activation
【著者】Tomomi Kurane, Tetsuro Matsunaga, Tomoaki Ida, Kazuko Sawada, Akira Nishimura, Masayuki Fukui, Masayuki Umemura, Masaaki Nakayama, Naoya Ohara, Sohkichi Matsumoto, Takaaki Akaike, Goro Matsuzaki, Giichi Takaesu
【doi】10.1096/fj.202101074RR
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
他のニュースも読む
-
研究成果 2024年05月14日
新規結核ブースターワクチン候補分子の提案-結核菌生来の翻訳後修飾を有する蛋白質の優れたインターフェロンガンマ誘導性-
-
研究成果 2024年04月26日
指定難病「視神経脊髄炎」の炎症を正負に制御する免疫ダイナミクスを発見-好中球とT細胞制御を目指した新たな治療法に道-
-
研究成果 2024年04月26日
難治性卵巣がんの治療抵抗性を引き起こす細胞間の協調作用を発見~「がん関連線維芽細胞」を標的とした新しい治療法開発に期待~
-
研究成果 2024年04月15日
糖尿病性神経障害発症における細胞外基質の役割を解明-コンドロイチン硫酸の発現調節による症状軽減化と新たな治療戦略への期待-