医歯学系(医学部保健学科)サトウ 恵 准教授が、日本医療研究開発機構令和5年度e-ASIA共同研究プログラム「気候変動に関する感染症」分野に採択されました
サトウ恵准教授(医歯学系(医学部保健学科))が、令和5年度 日本医療研究開発機構(AMED)戦略的国際共同研究プログラム(SICORP) e-ASIA共同研究プログラム「気候変動に関する感染症」分野に採択されました(応募件数20件、採択3件、採択率15%)。
e-ASIA共同研究プログラムは、東南アジアを中心とした地域の科学技術分野の研究開発力の強化と地域共通課題の解決を目指し、3カ国以上の多国間共同研究・研究交流を推進する事業であり、研究成果はSDGsへの貢献が期待できます。
研究プロジェクトのポイント
- ラオスとカンボジアのメコン川流域に分布しているメコン住血吸虫症の撲滅を実現するために、公衆衛生学的手法、検査医学的手法、環境モニタリング手法ならびに空間数理モデリング手法を融合させた、「健康教育パッケージ」を、日本・オーストラリア・ラオス・カンボジアの国際共同研究で開発し社会実装します。
- この国際共同研究プロジェクトで得られた成果を統合することで、ラオスとカンボジアの治療プログラムを最適化することができ、メコン住血吸虫の撲滅がなされ、両国の地域社会の健康増進、ひいては経済発展に貢献します。
研究プロジェクトについて
住血吸虫症は、住血吸虫の幼虫が含まれる河、湖、沼などの中に入ることで、幼虫が体内に侵入し、その後、静脈内に寄生することで生じる症状の総称で、急性期には発熱・じん麻疹・下痢などを生じ、慢性期には、肝脾腫や腹水などが発症します。世界で2億5千万人が感染していると推定されていて、東南アジアやアフリカなどの流行地では、社会経済的・公衆衛生的にマラリアに次ぐ重要な寄生虫症とされています。
サトウ恵准教授(医歯学系(医学部保健学科))は、これまでにタイなどとの国際共同研究で住血吸虫や肝吸虫などの寄生虫を環境中のDNAを分析することで検出することに成功するなど、途上国を中心とした寄生虫感染症の研究に注力してきました。
この度採択された研究プロジェクトでは、日本(新潟大学、旭川医科大学、新潟薬科大学)とオーストラリア、そして、ラオス、カンボジアから、寄生虫学、獣医学、疫学、統計学などの専門家総勢21名が集結し、①環境中の住血吸虫高感度検出方法の開発と②健康教育パッケージの開発、③環境中の病原体汚染度の監視システムの開発、④気候変動による河川・湖沼等の変化も考慮した数理モデルによる感染リスクマップの作成を実施することで、メコン住血吸虫の撲滅を目的としています。加えて、研究チームの男女比もほぼ等しく、女性のエンパワーメントが図られ、多角的な視点で研究を推進します。
現在のメコン住血吸虫の感染地域は、まだ限定的であるため、感染者の治療だけでなく、環境中の住血吸虫の高感度な検出と感染地域の住民のメコン住血吸虫に対する意識・行動変容を組み合わせる本プロジェクトが実施されることで、効果的にかつ比較的速やかな住血吸虫症撲滅が期待できます。また、日本は世界で唯一住血吸虫を撲滅した国であり、サトウ准教授をはじめ日本側研究チームがプレゼンスを発揮し、プロジェクトを主導していきます。
関連教員
関連リンク
- 令和5年度 「医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(戦略的国際共同研究プログラム SICORP)e-ASIA共同研究プログラム」の採択課題について
- AMED 医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(e-ASIA共同研究プログラム)
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