研究ビジョン2030の実現に向けて
「新潟大学将来ビジョン2030」では、本学の研究ビジョンとして、「個性ある最先端研究と多様な基礎研究を育む環境を整備する中で、ライフ・イノベーションに関わる全学の知を結集した研究フラッグシップ(※特色があり、旗印となるような研究)を作り、未来社会に向けて価値ある国際水準の研究を生み出していく研究志向型の大学となる」ことが掲げられました。
2030年に向けた道筋として、具体的には次の三つの目標が示されています。
目標2-1 全学の知を結集した新たな研究フラッグシップの形成
目標2-2 本学の特色ある研究のさらなる国際化
目標2-3 独創的研究や基礎研究を育むための環境整備
このページでは、これらの目標達成に関連する代表的な組織・取り組みをご紹介します。
目標2-1および目標2-2に関連する研究組織
○脳研究所
1967年にわが国で最初の脳神経に関する国立大学附置研究所として設置されました。ヒトの脳に関心をもち、その異常の克服を願い、多くの研究者が集っている全国唯一の組織として、開所から臨床に携わる教室(脳神経外科・脳神経内科・病理)を開設し、現在では、臨床、病理、画像、遺伝子、モデル生物、生化学、生理学など、本学の多様な知を活用した多角的な研究に取り組んでいます。世界的にも貴重な脳疾患のx組織標本を整備しており、国際共同研究も活発に行っています。 |
世界有数の脳神経病理標本や脳疾患動物モデル |
○災害・復興科学研究所
災害・復興科学研究所は、1969年に設立された理学部附属地盤災害研究施設などを基盤に組織体制を発展させてきました。積雪地域の複合災害研究や2004年の中越地震に対する復興支援など、独自性の高い研究を実施しています。近年は、「変容かつ激化する自然災害に対して適応能力が高い強靭(レジリエント)な社会を構築する“Disaster Resilient Societyの創生”」を目指し、国内外の研究機関と連携した取り組みや共同研究を精力的に推進しています。 |
全国的な災害調査の実績 |
○アジア連携研究センター
新潟大学がアジア地域の発展と平和に寄与する学術研究機関となるため開設されました。「相互理解」を重視しながらアジアの研究者と連携し、アジア共通の課題の解決に挑んでいます。アジアの歴史や自然、現代の社会や文化、持続可能な未来の創出などに多角的にアプローチしながら、世界の研究者を結びつけるハブとして、また、新しい研究成果を世界に発信していくゲートウエイとして、アジア地域のより良い近未来の創出に貢献することを目指しています。 |
「渡辺コレクション」をはじめとしたアニメアーカイブ |
○佐渡自然共生科学センター
佐渡島は森里海が近接し、河川を通した流域研究や教育を行うには最適の場所です。本センターでは、森里海の自然や社会・歴史などとの複合領域の研究を追求し、総合的に生態系を理解し、保全することを目指す新しい自然共生科学を展開しています。国内外の実習を受け入れながら共同研究を実施するとともに、地元の佐渡市と連携して、自然共生という価値の追求や持続可能な地域の発展につながる実装型プロジェクトを推進しています。 |
佐渡原生林 |
○日本酒学センター
新潟大学が世界初の「日本酒学」の拠点となるために設立されました。「日本酒学」とは、原料から醸造・発酵、流通、日本酒のたしなみ方や健康との関わりまで、日本酒に関連する文化的・科学的な幅広い分野を網羅する領域です。総合大学の強みを生かして、広範な研究・教育分野から教員が参加するとともに、学外メンバーとして新潟県、新潟県酒造組合が参加し、3者の力を結集することで、日本酒に係る「教育、研究、情報発信、国際交流」に関する事業を展開します。 |
世界初の学問「日本酒学(Sakeology)」 |
○腎研究センター
「腎臓病の病因、病態を解明し、新たな診断法、治療法、予防法を開発すること、次世代の研究者と医療人を育成すること」を目的に設立されました。腎臓病は最も重要な国民病の1つととらえられており、その対策は急務です。本センターは全国唯一の腎に関する総合センターとして、オンライン化された全国的腎病理組織データを保有し、国際水準の共同研究にも積極的に取り組んでいます。 |
オンライン化された全国的腎病理組織データ |
○ビッグデータアクティベーション研究センター
近年、実世界センシング技術、ビッグデータ分析、深層学習といった人工知能などの情報通信技術が発達しています。ビッグデータアクティベーション技術とは、これらの技術を基盤に、医学、工学、農学、理学など、各研究分野に蓄積された大規模データから新たな知識を創発し、課題解決を行う技術全般を指します。本センターでは、ビッグデータ関連技術を核とした異分野融合の学際的研究を推進しながら、従来の枠を超えた知識や価値を創出し、社会実装することを目指しています
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○カーボンニュートラル融合技術研究センター
本学に蓄積された世界水準の太陽熱、太陽光発電、水電解の技術の更なる効率化・経済性の向上を図ると共に、それらの技術を融合した技術開発を行うことを目指して設立されました。本センターでは融合技術の開発・実証によって国内・海外、大型・小型、昼間・夜間といった様々な場面に適合した再生可能エネルギー利用技術の社会への実装を可能にし、日本政府が目指す2050年のカーボンニュートラルの実現に資することを目指します。 |
○健康教育イノベーションセンター
新潟大学全学および学外からの多分野研究者を学際的に結集し、社会に眠る多くのビッグデータから健康増進に役立つ科学的エビデンスを確立すると共に、それを先端的な健康教育手法を駆使し社会実装することにより、人々の寿命・健康寿命延伸、疾患(重症化)予防、生活の質(QOL)向上を実現するための研究開発および教育を行っています。 |
○量子研究センター
本センターは、素粒子、原子核、物質から宇宙にわたる広範囲なスケールに対する「量子」に関わる基礎研究のエキスパートが結集し、連携して研究推進、人材育成、および地域貢献を加速する国際拠点を目指して設立されました。物質量子科学部門、RIビーム科学部門、および宇宙量子科学部門の3つの部門で連携して量子基礎研究を推進し、技術応用への橋渡しを進め、イノベーションの創出に貢献します。 |
目標2-3を達成するための組織や取り組み
○共用設備基盤センター
新潟大学における設備・機器等の共用化の促進、大型分析機器や放射性同位元素等を利用した教育研究の推進のために設立されました。全学の中心的機関として、設備マスタープラン立案、施設・設備の管理、教育研究等を実施し、大学の機能強化に資することを目的としています。基盤的研究だけでなく、地域の研究機関・企業との共同研究を始めとする国内共同研究や、国際共同研究を視野に入れた連携・融合研究の支援も行います。 |
○新潟大学若手教員スイングバイ・プログラム
国内外の若手研究者を分野を超えて一括採用し、融合研究へ展開していくための環境整備や研究資金獲得の支援などを実施しています。採用者は専門分野に応じた学系等で教育研究を行うとともに、若手研究者等の育成・支援を担う研究推進機構に兼務し、特に研究活動面に関するサポートを受けながら研究力の向上を図ります。 |
○URA
新潟大学URA(リサーチ・アドミニストレーター)は、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える人材です。総合大学のURAとして学問分野の多様性が持つ価値を理解し、新潟大学の理念・目標の実現のため、執行部や研究者、事務部門等と協働し、外部資金獲得支援のスキルを有した研究推進のスペシャリストとして、研究推進体制・機能の充実強化に資することを通じて、大学経営全体への貢献を目指しています。 |