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学長メッセージ

令和5年度秋季卒業式 学長告辞

卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了まことにおめでとうございます。新潟大学を代表して、心からお祝いを申し上げます。

この3年半は、新型コロナウイルス感染症COVID-19の世界大流行、すなわちパンデミックという、思いもしない出来事に遭遇する大変な時期でした。特に最初の1年は、コロナ前の日常が突然失われ、医療や社会の仕組みだけでなく、教育の世界まで大きく変化し、皆さんの学生生活もほぼすべて非対面、オンライン授業となってしまいました。留学生の皆さんは、母国に帰ることができない、あるいは日本に来ることができないという、厳しい事態にも直面したのではないかと思います。その中で、私たち大学関係者も、皆さんの学修機会を最大限守るために全力を尽くしてきました。幸い、2年目からは学修のスタイルも非対面から対面へ少しずつ移行できるようになり、ようやく日本も世界も、日常の生活を取り戻しつつあります。そうした中で、皆さんがこの卒業の日を迎えることになったことを、大変嬉しく思いますし、本日このようにライブラリーホールで式典を挙行できることは素晴らしいことです。

さて、このコロナ禍に大学生活を送ることは、皆さんにとって大きな試練だったと思います。しかし、この経験は必ずや皆さんの力となって将来に活かされるだろうと私は信じています。なぜなら、私たちが生きている社会には、その大きさはともあれ、さまざまな試練が待ち構えているのが常だからです。したがって、皆さんは、これからの人生においても予期せぬさまざまな出来事に遭遇することでしょう。そんな時には、皆さんはこの時代を乗り越えたという誇りをもって、前に進んでいってほしいものです。

その上で、卒業に際して三つのことをお話ししたいと思います。

一つ目は、新潟大学の理念「自律と創生」についてです。この理念を皆さんは覚えているでしょうか。「自律」は、その言葉の通り、自分自身で立てた規範に従って行動すること、そして「創生」は新たなものを作り出すことです。この「自律と創生」の精神をもう少し違う言い方で説明するならば、他人の真似ではなく、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、正しく判断して行動する、そういう習慣を持つことです。それは、ある意味では、新潟のシンボルでもある柳のように、その柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を持つことにもつながっています。私は、ここにいる皆さんが、この「自律と創生」の理念としなやかさ、「真の強さ」をもって新潟大学を卒業してくれるものと信じています。

これから皆さんが活躍する社会は、グローバル化が益々進み、一方で、IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術が築くサイバー空間と、現実のフィジカル空間が融合した新しい世界がどんどん築かれていくことでしょう。また、自然科学と人文・社会科学の「知」が融合したさまざまな社会改革が未来を創造していくものと思います。そして、その中で、今回のCOVID-19の世界大流行のような事態や予期せぬ自然災害等に見舞われることもあるに違いありません。その中で、皆さんは皆さんの力で未来を切り拓いていくことになります。どうか、「自律と創生」の精神を忘れず、一歩ずつ前に進んでいってもらいたいと思います。

さて、二つ目は、新潟大学の将来ビジョンのことです。新潟大学は一昨年の2月末に10年後を見据えた将来ビジョンを策定しました。そこでは、直近の未来である2030年に向けて、新潟大学が果たすべきミッションを、「未来のライフ・イノベーションのフロントランナー」となることと定めています。

ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、単に「医療・健康・福祉分野」に留まらず、21世紀を生きる我々の「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。すなわち、新潟大学が目指す「ライフ・イノベーション」は、人類を幸福にするための革新のことです。これは、卒業・修了する皆さんと共有できるものでしょう。皆さんが、新潟大学を離れても、このミッションを忘れず、共に未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとなることを目指して活躍してもらえれば大変うれしく思います。

三つ目ですが、それは母校との絆についてです。皆さんは新潟大学を卒業・修了しますが、どうかいつまでも母校との絆を忘れずにいてほしいと思います。新潟大学は来年、新制の国立大学になって75周年を迎えます。それに向けて、現在様々なイベントが計画されています。未来の新潟大学がよりよくなるように、大学のキャンパスの見直しも進んでいます。こうした新潟大学を皆さんも同窓生として見守り、さらにさまざまな形で参加してもらいたいと思います。また、これからはリスキリングの時代に入ります。皆さんの人生の中で何度も学び直す機会や、新しいことを学ぶ機会がでてくると思います。こういう時にはぜひ、新潟大学を活用してもらいたいと思います。

以上、三つのお話をしました。

皆さん、新潟大学は皆さんの母校であり故郷です。新潟大学で学んだ誇りをもって、未来への一歩を踏み出してください。新潟大学はこれからも皆さんを見守っています。そして、皆さんが、新潟大学の理念を忘れずに大いに活躍されることを期待しています。そして、そのために、卒業・修了後も知的好奇心を持ち続け、学ぶ事を忘れず、どこにいても新潟大学と絆を結びながら、未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとして活躍されることを心から願い、あわせて皆さんの未来に幸多きことを祈り、私の告辞とします。

卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了まことにおめでとうございます。

令和5年9月20日
新潟大学長 牛木辰男