新潟大学経営戦略本部 男女共同参画推進室

HOME
Niigata University Gender Equality Office
  • 関連リンク
  • アクセス
  • お問い合わせ

女性の活躍推進

第9回トップ懇談会開催報告(前半)

男女共同参画推進室では、本学の男女共同参画及びダイバーシティ推進の機運をより一層高めるため、大学の意思決定者である学長や理事と現場で活躍する教職員との懇談会を実施しています。本学に必要とされる男女共同参画及びダイバーシティ推進に関する意識改革や教育研究環境整備の具体的方策などを話し合う機会となっています。


トップ懇談会
<牛木辰男 学長>

【テー マ】 ダイバーシティ推進とコロナ 
【ゲ ス ト】 牛木辰男 学長 
【日  時】 令和2年 8 月 7 日(木) 13:00-15:00 ※オンライン
【司  会】 定方美恵子(男女共同参画推進室長、ダイバーシティ担当副学長、
       医歯学系(保)教授)
【参加者】 豊田光世(佐渡自然共生科学センター准教授)
       加賀谷真梨(人文社会科学系(人)准教授)
       湯川靖彦(推進室兼務教員、自然科学系(理)教授)
       阿部理一郎(推進室兼務教員、医歯学系(医)教授)
       ステガロユ・ロクサーナ(推進室兼務教員、医歯学系(歯)准教授)
       中村史(推進室兼務教員、自然科学系(農)助教)
       高清水康博(推進室兼務教員、人文社会科学系(教)准教授)
       中野 享香(推進室准教授)
       西原亜矢子(推進室特任助教)
       小久保 美子(教育・学生支援担当理事)

はじめに

(司会) 本日は、今年の2月に就任された牛木学長をゲストにお招きしました。テーマは「新潟大学のダイバーシティ推進」と「コロナ」の2つです。新潟大学では、今年3月末にダイバーシティ推進宣言を行い、ホームページで公表しました。
(教員) ダイバーシティ推進宣言が出たことを、本学の性的マイノリティのサークル関係者も高く評価しているようです。この宣言が出て、ようやくスタートラインに立ったというところだと思います。この次のステップの具体策として、何か想定されていることなどおありでしょうか。
(学長) 最初から直球ですね。今はまだ特に決まっていることはないのですが、最初にこの推進宣言の原案がでてきたときに、属性が明示されていなかったので、私から、多様な性や障がいや国籍などの具体的な属性を盛り込んでもらった経緯があります。
(学長) 日本がいつフラットな社会になれるかは、予測がなかなか難しいのですが、前に比べたらずっとよくなっていると思うのです。私は昔、アメリカで、ハーバード大学出身の、臨床医でもあり、新しい細胞の発見でも知られる有名な先生のラボを訪ねたことがあるのですが、会話の中で、自分がホモセクシュアルであるということをスルっと言ってくれた。そういう話を自然にできるところがやはりアメリカはマチュアだなと思いましたし、性的マイノリティであることと能力とはまったく関係がないということを、その先生はよく示していました。日本もそういう社会になればいいなというのが私の中にはあります。
(学長) それから障がいのある学生や教職員についても、新潟大学はこれまでも受け入れてきました。もっともまだまだ足りないところが多いのは承知しています。どんな職業でも、いろんな人がいて、なんでもかんでもではないけれども、できるところから始められるといいなと思うんですね。
(理事) 学長は学部長時代にお祈りの場所をつくられたりもしておられましたね。
(学長) 宗教はそれぞれの生活様式でもあるから、そのための場所を確保するのは大学として必要なことだと思っています。

脳の性差と性的マイノリティ

トップ懇談会

(学長) 男女のことを言うなら、男女は平等ではあるけれども、同じだとは思っていないんです。なぜかというと、私は解剖学者なので、例えば、人の脳についてなら大脳を中央で2つに切った断面で、これは男の脳か女の脳かある程度推測できることを知っているんです。それは脳梁という脳の左右をつなげている線維の束が女性の場合は多くて厚いのに対し、男性は薄いのです。そういうふうに生物学的にも男女には異なる特徴があって、それぞれの個性があるので、それを生かしながらの社会でもいいのではないかなと思っています。
(教員) それは幼いときでも違いをみてとれるものでしょうか。果たして生物学的な要因はどこまでなのか。大人だから脳梁に表れるのか、乳幼児でも表れるのか、そこは気になるところです。
(学長) 脳の仕組みは3歳ぐらいまでにだいたい決まってしまいます。性の特徴が出るのは大きく2回ぐらいです。発生途中の生まれるまでの間に1回、母親のそのときの環境と個人の性染色体の影響を受けます。あとは第2次性徴のときですけど、そのときは、もう、脳の構造にはあまり影響しないんですね。だから、性的マイノリティという方は、ある意味では、お腹の中にいるときぐらいまでの発達の仕方と関係していることも多いのだと私は思っています。それが悪いことではないし、そういうことがあってもいいと思います。
(教員) そうすると、第2次性徴のときに意識化されるということだと思いますが、やはり学生ぐらいの年齢になって、初めて「自分とは」ということに気づく人たちが少なくないと思うんですね。大学生になって、身体に違和感を覚えるようになったときに、例えば、トイレや着替えの場所などが男女で二分されていることで戸惑ってしまう。
(学長) そうですよね。第2次性徴が起こると性ホルモンも多く出て、体の形が変わって、自分の脳の性と合わないことが非常にはっきり見えてくるから、すごく不安になるのでしょうね。そういう学生たちへの心のケアというのも、ダイバーシティを考えるときは必要なことだと思います。心の中で違和感がすごく出ていることを誰にどう伝えて解消すればいいか、そういう場所が見出せる優しい社会が必要です。日本全体でなくても新潟大学はそうであることが必要ですね。
(司会) 男女共同参画室としても、このダイバーシティの宣言をするきっかけになったのは、やはりLGBTや、性自認の問題で悩んでいる人たちへのフォローということでした。ガイドラインをつくったり、大学の中でのいろんな配慮をしていきたいという声もあって話し始めたところです。ダイバーシティ推進宣言を踏まえて、誰でも使えるトイレの問題とか名簿の問題とか、本当にいろいろあると思いますので、できるだけ具体的にしていきたいと考えているところです。
(教員) もう一つ提案ですが、新潟大学の学生さんには、全員、そういったダイバーシティのリテラシーを持ってもらいたいなと思います。すぐにはできないと思いますけど、そういう基本的な、社会に出たときに必要となる教育を全員が受けているというのは、新潟大学にとってもすごく大事だと思います。
(理事) 本当にオール新大で進めていく必要がありますね。ありがとうございます。

当事者の視点の大切さ

トップ懇談会

(教員) ダイバーシティは何でもそうだと思うのですけれども、マイノリティについてのお話は、当事者が中に入っていないと進まないのではないでしょうか。例えば、こういう会で当事者に積極的に入っていただくとすごく進むのかなと思うのですけれども。
(学長) そうですね。私たちはそれぞれみんな小さい世界を見ているから、違う目線に気づかないことが多いですよね。私が気にしていることは、当事者は実は気にしていなかったり、そうではないことが重要な問題だったりすることの方が多いですよね。
(教員) 実は、私は新潟大学に来る前に女子校に勤めていて、マイノリティの経験をしたことがあるんです。教員の大部分は女性でした。もちろん男性の教員も何人かいたんですけど。困ったのはトイレでした。先生たちは、男性というのはトイレを特に恥ずかしいと思わないと思っておられたようで、非常に薄いちょっと人が通って風が吹くと揺れるようなカーテンの向こう側がトイレだったのです。そのときに思ったのは、知らないとそうなっちゃうということです。だけど、言わなければ全然直らないんです。
(教員) これは別のところで聞いた話ですが、車椅子の人が東京の駅を利用する際、昔は、運がよければ何分か階段の下で待っていると、親切な人が5、6人で持ち上げてくれたそうです。そうすると、目的の場所にわりとすぐに行かれる。最近はそういう車椅子のための配慮があると言うけれども、駅でいうと、一番端にエレベーターがある。そうすると、自分で乗って2階に上がれるのだけれども、目的地から一番遠いところに行かなければいけなくて、2階に上がったらまたうんと遠くまで戻ってこなくてはいけない。だから、みんなの配慮は分かるけれども、便利さから言うと、昔の方がもしかしたら便利だったかもしれないと。
(学長) 私も、大学院生のころ、女子短大の非常勤講師をやっていたことがあるのですが、男性用のトイレがなくて困りましたね。学校の中に1~2カ所しかないので、そこに行かなければいけない。
(教員) 計画を立てたときに、実際にその立場の人たちがフランクに意見を出せるような環境であったら、もう少し違ったものになったかもしれない気がするんです。やっぱり、当事者が混ざっていることと、世の中いろんな人たちがいるんだという知識が必要なのかなという気がします。
(学長) 私たちが気づかないものはたくさんあるんでしょうね。ただ、’男女’と、性的マイノリティや障がいなどは若干違うと思うんですよね。男女については、区別なく昇任できたり研修を受けたりする機会が必要と考えなければいけない。性的マイノリティや障がいなどは、そういう人が何人いなければいけないとかいうものではなくて、空気のように、お互いが自然に暮らせる、自然だからこそ「私は○○なんですよね」とサラリと言える社会になることが大事だと思うんです。そうすると、こういう困ることがあるんだ、ということも自然に出てくる。意見を聞くために少数の人をあぶり出すみたいなことは一番よくないスタイルなので、そういうことにも配慮したいですね。
(教員) 手が挙がるか分からないですが、「やりたい人」を公募するというのはどうでしょうか。子育てや介護、障がいなどで、いわゆる普通の働く“マンパワー”とはちょっと違う状況にいたり、働く環境を変えたい人を公募しても面白いのではないかと思いました。

多様性を引き出す対話空間をつくりたい

トップ懇談会

(教員) 私は研究で対話の場をデザインしているのですが、今のお話にはすごく共感する部分がありました。声をどう拾い上げていくか。例えば、窓口をつくったからと言って、必ずしもそこに声が集まるわけではないし。どういう場をつくっていったら、そういう困ったことや、聞いてほしいことを拾い上げられるのかなということをすごく意識しています。そこで思うのは、一つは、多様性を感じられる環境だと言いやすいのかなということです。
(学長) お仕事で地域の方との対話もずいぶんされているようですが、どんな方が集まりますか。
(教員) やはり男性しか来ないです。ただ、地域のことを考えるときは、女性の視点はとても大切なので、それは意識的にこちらから女性が来てくれるようないろんな仕組みで話し合いの場をつくっていきます。何度も何度もこちらから、みんなの声が知りたいんだと積極的に伝えていく。その積み重ねで少しずつ語り始めると、今度は、すごく、いろんなことが出てくるんです。そんな、多様性を引き出す対話空間みたいなものをつくっていけたらいいなと思っています。
(学長) 農村はある意味日本の原点で、日本社会の男性、女性の仕事分担が残っていると思うのです。そういう意味で、ダイバーシティには役割分担というのもあるかなという気がします。家に居るのが女性でなくて男性でもいいわけですし、家に居ることが、悪いことでもない。そういう社会だといいかなと思いますね。
(教員) 日本はステレオタイプを結構強く持ちがちですが、ジェンダーとか国籍とかそういうことだけではなくて、生き方の多様性みたいなものも伸ばしたり尊重したりする雰囲気ができると、大学全体が、私たち教員だけではなくて学生たちももっと生きやすいのかなと思いました。

第9回トップ懇談会(後半)へ >>