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過去の学長メッセージ

令和3年度入学式 学長告辞

新入生の皆さん、新潟大学へのご入学、誠におめでとうございます。新潟大学を代表し、心からお祝いを申し上げます。また、新入生の皆さんを支えてこられたご家族をはじめとした関係者の皆様方にも、心からお慶びを申し上げます。

特に今年は、センター試験に代わる大学入学共通テストのスタートに加え、コロナ禍という厳しい状況の中での大学入試となり、皆さんにとっては、さまざまな不安を抱えた、緊張に満ちた大学受験だったと思います。私たち大学関係者も、感染予防を含めて、緊張に満ちた特別な入試の年でした。

そんな厳しい状況の中で、受験勉強の日々を乗り越えて、このように入学を果たされたわけですから、さぞかしホッとされているとともに、喜びと期待がいっぱいのことと思います。また、その一方で、まだ止まぬコロナ禍の中の大学生活に不安と戸惑いも多いのではないかと思います。

実際に、例年ならば、全学合同の入学式を朱鷺メッセで盛大に挙行し、喜びを分かち合うのですが、昨年から続くコロナ禍のために、私の告辞や新入生代表の宣誓はこのようなビデオ配信とし、各学部・研究科ごとの入学式を行うことにさせていただきました。春のやわらかな陽気に包まれながら、皆さんに直接お会いして、お祝いを述べることがかなわず、大変残念ですが、どうかご理解いただきたいと思います。

自律と創生

さて、入学に当たり、皆さんにお伝えしたいことは、新潟大学の理念です。

新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り、「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを作り出すことです。どうか、入学にあたり、この言葉を胸に刻んでいただきたいと思います。

これから皆さんが生きていく時代は、どのようになっていくでしょうか。想像ができるでしょうか。思い返せば、この10年でもいろいろなことがありました。ちょうど10年前の3月11日は東日本大震災が起こりました。それに伴う福島第一原発事故。そして、昨年からはCOVID-19のパンデミックという大きな試練に立たされています。皆さんがこれから生きていく時代にもこうした予測のたたない大きな出来事や試練がきっと待ち受けているのだと思います。そうしたときにおいても新潟大学で学んだ皆さんには、リーダーシップを発揮し、乗り切ってもらいたいと思っています。その時の皆さんの道しるべになるのが「自律と創生」の理念だと、私は思っています。

コロナ禍でもポジティブに

これから始まる大学生活は、まだコロナ禍が続くことから、いろいろな制約があることと思います。しかし、少し時間がかかるとしても、コロナは必ず収束します。皆さんが卒業を迎えるころにはきっとコロナ禍を乗り越えたあとの新しい時代が訪れているに違いありません。

それまで、この制約の中で何ができるか、あるいは制約を逆に生かしてできることがないか、コロナ後に生かすことができないか、というように、どうかポジティブにとらえて、皆さんの好奇心の翼を最大限広げながら、実りある大学生活を送っていただきたいと願っています。

その中で、コロナ禍でどう生きるかを、他人の受け売りではなく、自分で考えてみる。そして、自分の規範を自ら立てて、物事を考える習慣を養ってもらいたいと思います。自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、判断していく、そういう力です。それが、新潟大学が皆さんに求める「自律と創生」です。

新潟大学は大規模総合大学です。さまざまな学問分野のエキスパートが集まった「知の拠点」です。したがって、皆さんは自分の専門分野はもちろんですが、そこに限らない様々な学びを得ることができます。また、机から離れたフィールドワークもあるでしょうし、コロナ禍が終われば留学という機会もあるでしょう。もちろんコロナ禍の今にあっても、オンラインを用いて、さまざまな活動が行われ、海外の学生や研究者との交流も行われています。大学にいる間に、多様な出会いの経験をしてもらいたいと思います。それがきっと皆さんの大きな力になるでしょう。

また、大学の学びにおいては、高校までの試験問題のような、答えのあるものばかりではないはずです。むしろ、答えのない課題や問題に出会うことが多いと思います。しかし、未来に立ち向かう力は、そうしたことに真摯に向き合うところから始まります。答えのない問題に立ち向かう勇気と、それを克服する根気も必要でしょう。

新入生の皆さん、どうか、新潟大学の理念である「自律と創生」を胸に、大学生活の中で多様な学問と人との出会いに接し、積極的にさまざまなことに取り組むことで、そうした強さ、すなわち、新潟市のシンボルでもある、柳の枝のように、しなやかで折れない「真の強さ」を身につけてください。

皆さんがやがて新潟大学を卒業し、社会にはばたくとき、それが皆さんの支えになると私は信じています。卒業時に、大きく成長した皆さんにお会いできることを楽しみにし、私の告辞とします。

本日はまことにおめでとうございます。

令和3年4月

新潟大学長 牛木 辰男