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学長メッセージ「学窓を去る皆さんへ」2020年3月

学長メッセージ「学窓を去る皆さんへ」

2020年3月23日(月)に開催を予定していた令和元年度卒業式は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、やむを得ず中止となりました。卒業式の代わりには及ばないものの、少しでも卒業生の皆さんが笑顔でキャンパスを巣立っていただけるよう、本来式典で行われる学長告辞を、キャンパス風景や行事の写真を織り交ぜた学長メッセージ動画として本学WEBサイト及びYouTubeに公開しました(公開期間:3月23日(月)~3月31日(火))。動画の公開期間は終了しましたが、その際の学長メッセージを以下に掲載いたします。

 


卒業生の皆さん、修士・博士修了生の皆さん、そして養護教諭特別別科修了生の皆さん、卒業・修了まことにおめでとうございます。新潟大学を代表して、心よりお祝いを申し上げます。

例年は、朱鷺メッセで新潟大学の卒業式を実施していますが、今年は世界的な規模で広がる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策の一環で、この卒業式を中止せざるを得なくなりました。卒業式は、皆さん並びにご家族の皆様にとって、人生の節目ともなり、思い出深い大切な行事であることを思うと、我々大学主催者にとっても大変つらいことです。
皆さんに直接、卒業へのはなむけの言葉を送ることができないのは残念ですが、今年はこのように私のビデオメッセージをお送りします。

自律と創生

皆さんの新潟大学での学生生活はいかがだったでしょうか?
初めて新潟市に来たひと、初めての一人暮らしをしたひともいたでしょう。入学式で初めて出会った同級生、初めての大学の授業と、さまざまな初体験から始まったのではないでしょうか。また、その後の学生生活も、専門の授業や実習、ゼミ、サークル・クラブ活動、ダブルホームの活動、留学経験、留学生との交流、研究室での実験など、さらに、同級生や先輩との談論風発、あるいは友人との旅行と、たくさんの出会いや経験があったのかと思います。
皆さんが大学生活で得たものは、皆さんにとって一生の宝です。それは皆さんが、明日から社会人として、あるいは大学院生として新しいステップを踏み出し、活躍されるときに、皆さんを支えてくれる糧となるでしょう。
新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り、「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを作り出すことです。卒業にあたり、今一度この言葉の意味をかみしめてもらいたいと思います。

知的好奇心・学び続ける・夢を忘れない

この理念の上で、私から皆さんに、三つのことをお願いしたいと思います。

まず一つ目は、「知的好奇心を生涯持ち続けてほしいこと」です。大学は「知の拠点」であり、学生の皆さんや教員にとっては「知の自由空間」だと私は思っています。その点で、皆さんの好奇心をそそる物事がたくさんあったのではないでしょうか。どうか、その知的好奇心を生涯持ち続けてほしいと思います。

二つ目は「学び続けてほしいこと」です。
この「学び続けることの大切さ」は常に知的好奇心を持ち続けることと両輪であると私は思います。

三つ目は「皆さんが抱いている夢を忘れないでほしい」ということです。
皆さんは、今将来について、いろいろな夢を描いているのではないかと思います。実際に若い皆さんにはたくさんの可能性があります。その点で皆さんの将来は、広大な白いキャンヴァスのようなもので、これから皆さん自身がそこに自分自身の人生の絵を描いていくことになります。
皆さんは、これからの人生の中でさまざまなことに出会うことになると思います。そして、それに対応しながら、それぞれの道を歩んでいくことになると思います。しかし、どうか大学時代にもった夢や希望を忘れずにいてほしいと思います。それが皆さんの道を照らす灯りとなることを願っています。

これからの時代に

これから皆さんが活躍する社会は、グローバル化が益々進むとともに、Society 5.0という言葉に表される社会改革がどんどんと進んでいきます。世界の人々がせわしなく移動する中で、IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術が築くサイバー空間と、現実のフィジカル空間を融合させて、社会がどのような形で築かれていくのか、予測が極めて難しい時代です。

まさに、今回の新型コロナウイルスの世界的感染拡大とその中での我々の戦いが、きわめて象徴的な出来事と言えなくもありません。科学の発展はこのウイルスの同定を可能にしたため、新型コロナウイルスのような新しい感染症が出てきても、普通の風邪と区別することができるようになりました。一方で、人々のグローバルな交流がウイルスを世界に広げることになり、これまで経験をしてこなかった感染の拡大を見せて、パンデミックという世界大流行を引き起こすに至りました。また、これに対して、各国の膨大なデータが集められて、日々さまざまな情報が発信されていますが、ネットワーク社会が発達した結果、逆に情報が混乱してデマやフェイクニュースに悩まされたりもしています。今まさに、科学と人類の英知を世界規模で考えることの重要性が浮かび上がっているわけです。

こうした中にあって、皆さんは、自分自身でよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、判断していくことで、社会を切り拓いていく必要があります。どうか、新潟大学で学んだ皆さんなら、「自律と創生」を胸に刻み、「知的好奇心」をもって「学び続けること」を忘れず、自身の「夢」に忠実に進んでほしいと思います。

皆さん、新潟大学は皆さんの母校でありふるさとです。新潟大学で学んだ誇りをもって、未来への一歩を踏み出してください。皆さんの未来に幸多きことを新潟大学はこれからも見守っています。そして、皆さんが、皆さんの後に続く在校生たちの目標であり「灯り」となるように、各方面で活躍してくれることを切に願って、私からのメッセージとします。

令和2年3月23日 本来は卒業式のある日に
新潟大学長 牛木辰男