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過去の学長メッセージ

令和4年度秋季入学式 学長告辞

秋季入学生の皆さん、ご入学まことにおめでとうございます。

新型コロナウイルス感染症COVID-19が今なお収束しない状況ですが、その中でも今年はこのように式典を開催し、お祝いの言葉を皆さんに直接お伝えできることは大変うれしいことです。新潟大学を代表して心よりお祝い申し上げます。

皆さんは入学に際して、未来への様々な夢や希望を胸に抱いて、ここにいるのではないでしょうか?夢や希望は、人間が生きるための原動力です。まず、それを言葉にしてみてください。あるいは文字にしてみてもいいでしょう。もしかすると、まだぼんやりしていて言葉や文字にならないかもしれませんが、意識的に思い描くことは大切です。そうすることで、少しずつ夢や希望が具体的になってくる、あるいは、ぼんやりした夢や希望に向かう小さな扉が見えてくるのではないかと思います。

私は、大学というのは、こうした自分の夢や希望を明確にして、それに向かっていくための基礎力を養うところではないかと思っています。大学の学びにおいては、これまでの試験問題のような、答えのあるものばかりではなくなります。むしろ、答えのない課題や問題に出会うことが多いでしょう。しかし、それは実は、私たちが解けない問題や予測できない問題に立ち向かう力を養うことだといえるでしょう。

新潟大学での学びは、そうしたことに気づき、これから予測できない未来に対して立ち向かう力を身に付けるものでありたいと願っています。そして、「答えのない問題に立ち向かう勇気と、それを克服する根気」を大学生活の中で養ってもらいたいと思います。

新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り、「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを作り出すことです。新潟大学はこの理念のもとで、皆さんが在学中に「常に自身の規範を自ら立てて物事を考える習慣」を養ってもらいたいと願っています。

この「自律と創生」の精神をもう少し言い換えれば、他人の真似ではなく、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、正しく判断していく、そういう習慣を持つことです。そして、それは、新潟のシンボルでもある柳のように、あの柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を持つことにつながります。

どうか、新潟大学での学生生活を通して様々なことを学びながら、この「自律と創生」の理念と「真の強さ」の精神を感じとってもらいたいと思います。

さて、新潟大学は昨年2月末に10年後を見据えた将来ビジョンを策定しました。そこでは、直近の未来である2030年に向けて、新潟大学が果たすべきミッションを、「未来のライフ・イノベーションのフロントランナー」となることと定めています。

ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、単に「医療・健康・福祉分野」に留まらず、21世紀を生きる我々の「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。

新潟大学は大規模総合大学です。さまざまな学問分野のエキスパートが集まった「知の拠点」です。したがって、この総合力を生かして目指すものが「未来に向けたライフ・イノベーション」であり、新潟大学はそのフロントランナーになることを目指しています。

こうした環境で、皆さんは自分の専門分野はもちろんですが、そこに限らない様々な学びを得ることができます。また、机から離れたフィールドワークもあるでしょう。コロナ禍が落ち着いてくれば留学という機会も出てくるでしょう。もちろんコロナ禍の今にあっても、オンラインを用いて、さまざまな活動が行われ、海外の学生や研究者との交流も行われています。大学にいる間に、多様な出会いの経験をしてもらいたいと思います。それがきっと皆さんの大きな力になるでしょう。

改めて、皆さん、入学まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。そして、皆さんの大学生活が実りあるものとなることを願い、私の告辞とします。

令和4年10月3日
新潟大学長 牛木辰男